「行くぞ」
すたすたと歩いて行く秋月会長に、椅子を立ち上がりついて行く。
背中にホッとするのは何でだろう。
だが教室を出て、階段へ足をかけた秋月会長を見て、その気持ちも下りかける。
秋月会長は執務のために階段を昇り、私は下校するように促されるのが常だったから。
しかし今日は、階段を数段昇ったところで、秋月会長の足が止まった。
斜めに顔が見える位置で、秋月会長は私を一瞥すらせずに、何かを言いかける。
良く聞こうと足を踏み出した瞬間、頭上から声が降って来た。
「門限は」
「へ?」
「何時だ」
「えーと……」
何の話かと私が思考を真っ白にしていると、秋月会長が面倒くさそうに言葉を追加した。
「俺は7時には終わるんだが」
「はあ」
だから何? と喉元まで出かかり、かろうじて飲み込む。
少し苛立ったような言葉が続いたけど、秋月会長が何を目的に喋っているのか、さっぱりわからない。
「終わったら、送る。だからいるつもりならそれまで時間潰してろ」
そんな極めつけの台詞があったから、私の中で漸く一本に繋がった。



