校門も駆け出ししばらくすると、徐々に秋月会長のスピードが落ちてきた。
持久走はちょっぴり得意な私だけど、久しぶりに走った長距離に息はだいぶ上がっている。
歩くよりは速いくらいになって、ようやく思考が働きだした。
ゆでだこみたいに怒ってたヒロシ先生を思い出して、つい笑ってしまう。
学校に戻れば叱られるとわかっているのに、それすら余裕に感じられるのは、ランナーズハイに近いのかも。
信号で止まった時、秋月会長に気付かれた。
こっそりと笑ってる私に、気味悪そうな眼差しや冷淡な眼差しが返ってくるかと思いきや、意外にも目が柔らかくゆるんで。
うっすらとかいた汗を拭うようにかきあげた、髪の下から現れたその目に、
私の心臓はぴくんと反応した。
「悪かったな、サボらせて」
ちっとも悪びれてない声だけど、渡りに舟とばかりに私は首を振る。
耳まで熱を持ったのがバレないように。
でもそのまままた沈黙が始まってしまったから、私は何か言葉で返すべきだったのかもしれない。
掴まれていた腕も、ゆっくりと秋月会長の手が離れていったから。



