秋月会長がその続きを言う前に、私の目の前にナツキが立ちはだかった。
「結香チャン、遅い」
そう言うが早いか、あっという間もないくらい唐突に、私の腕を引く。
「ガッコ始まる」
「いたっ──」
思いがけなさだけではない、荒々しいチカラに痛んだ腕に、思わず上げた声。
あ、と口を開けて離すタイミングと、痛みに耐えられないような声を漏らしたのとが、同一人物であるにも関わらず、ほぼ差はなかった。
痛む声の原因は、ナツキの左腕にあった。
秋月会長がナツキの腕をがっちりと掴んでいたのだ。
とっさの言葉が出なくて、なんでそんな事になってるのかを頭フル回転させる。
秋月会長も何か言えばいいものを、全くの無言だ。
ナツキだけが声を取り戻していた。
「なぁ。離したけど」
なんの話、と思ったら、確かに私の腕から、ナツキの手が離れていた。
秋月会長はそれを確認したのち、ゆっくりとチカラをといてナツキの腕を解放した。
「ったく、バカぢから」
苦情を申し立てておきながら、ナツキの顔は秋月会長に向けられ、愉しそうに笑っている。



