「先生が呼んでる」
「コラ、夏木!
風紀のお前が挨拶に遅れてどうするっ!!」
淡々とした秋月会長の言葉に被さるように、先生の怒声が響き渡る。
ナツキは私の直ぐ前から軽い動作で身をひくと、
先生から見えないように顔斜めにしながら溜め息を吐いた。
圧迫感がなくなり、私もそっと息を吐く。
「ちっ……今日はいつも以上に機嫌悪ぃな」
ささやかな愚痴を垂れ流し、面倒くさそうに先生のところへ向かっていくナツキ。
後ろ姿を見たら、強引に近付かれたことで強張っていたチカラがようやく抜けた。
何事もなかったように挨拶へ戻ろうとしている秋月会長に、
私は何か言おうとしたけど、言葉が出て来ない。
そうする間に軽い舌打ちが聞こえて、
たじろぐと同時に、言おうといった衝動も飲み込んでしまった。



