それでも、私から振り返るつもりはない。 ホッとした自分を知られたくないから。 そんなの、何だか待ってたみたいで、見せたくない。 ちょっとした、意地。 教室の中は生徒もまばらで、サキはとっくにいない。 それなりにざわついているけど、うるさく騒ぐ生徒はいないので、 私は後ろに耳を澄ました。 するとキュッと上履きの止まる音が私の真後ろでした途端、 ふわっと温かい手が、私の視界を塞ぐ。 「だーれだ」 囁くような甘い声が、私の耳朶にかかった。