つけまをつけて黒さが際立つ睫を、ぱしぱしと数回瞬かせてから、合点がいったようにサキは口角を緩めた。
「そりゃアンタが邪魔したんじゃなくて。アキの精神修行が足んない。
それをあたしらに見られてふてくされたんだよ。ったく、ガキかっての」
な? と同意を求めるように私に笑いかけたけど、
言ってる意味がさっぱりわからない。
「アンタがそばにいたら仕事が手につかないなんて、それでも男かっての。
男ならビシッと──」
よくわからない論理を振りかざし始めたサキに、私は曖昧に相槌を打った。
「あたしらにも仕事仕事ってさぁ。あんなん絶対八つ当たりだし。
自分たちばっか話してんじゃねーよって言葉がビンビン聞こえてきてたよな。
余裕ねーでやんの、くくく」
「はあ……」
音の響きやすい廊下ということで、笑いは抑え目にして欲しいとひやひやする。
心配した程には響かず、ホッとした。
自分たちばっか話してんじゃないという言葉に、耳が痛い。



