いつの間にか腕は離されていて、
そのかわり、私は背中を壁に押し付けるように立たされ、
正面に位置する秋月会長が、逃がさないとばかりに私の両脇を固めるように壁に手をついていた。
顔同士の距離が近くて、落ち着かない。
こうして立つと、私よりも身長の高い秋月会長は、まるで覆い被さってくるような威圧感がある。
私をその瞳に映しながら、秋月会長はゆっくりと口を開いた。
「“送れば良かった”って、誰かに何かされたのか」
抑えて発された声に、苛立ちと怒気とが孕んで聞こえる。
何をそんなに苛ついているのかわからない。
「べ、別に、なにも……」
「じゃあなんでアイツがオマエにあんなことを言うんだ」
「それは……」
秋月会長のこと何にも知らないけど、
少なくとも今まで見たこともない剣幕だったから、
私はたじろぎながら、なんとか昨夜のことを説明した。
弁明するみたいに。



