集団でないのが不幸中の幸い。
エンジン音を響かせて私の前にいるバイクは、あのワインレッド一台。
どうやら一人だけ別れて来たらしい。
私の行く手を防ぐように回り込まれた為、つい足を止めてしまった。もちろんすぐに後悔する。
声を掛けられた事や、バイクが目の前に止まった事を、今更なかったことには出来そうもないと気付いたからだ。
自分の迂闊さに奥歯をかみしめる。
こちらがわへバイクを斜めに傾け、つっかえ棒がわりにしている足の持ち主は、
警戒心丸出しの私に、また声をかけてきた。
「シカト? えーっと、結香チャン?」
思いもかけぬ言葉に、弾かれたように顔を上げてしまう。
正面に、ニヤリと笑う顔があった。
「ビンゴ」



