秋月会長がサキに向かったのを、見てはいなかったけど、何となく感じた。
「……邪魔だ」
低い声は聞き取りにくかったけど、たっぷりと迷惑さが含まれていることに、
私だけでなく、サキも気づいたらしい。
でもサキは、秋月会長がどう思おうと覆す気はないようだ。
それどころか、漏れる声を聞く限り、爆笑の前兆にみたいで、
笑うポイントが一体どこらへんにあるのかと、
私は不思議で仕方ない。
「まぁそう言うなって。
確かめたらすぐに帰るからさ。
確かめたらね?」
何を確かめに行くのか、
何故疑問形なのか、
突っ込みどころは満載なのに、秋月会長はそれ以上言及しなかった。
視線を感じ、思わずそろりと秋月会長を窺う。
眼鏡の奥の瞳が、歪んだ気がした。
溜め息をついた秋月会長は、軽く目を伏せる。
「……勝手にしろ」
背を向ける仕草はいつも同様なのに、
そこに拒絶が見え、戸惑う。
動けないでいた私を無理矢理サキが引っ張り、
漸く足が動いた。



