彼女がそう答えると、母は安堵の微笑みを浮かべた。

「父上も心配しておられます故、その姿を早く見せなさい。」

「はい。」

ちらっと千与は由親に視線を向ける。視線と視線が交わると、由親はふわっと優しい笑みを浮かべる。
杞憂などいらない。そう言ってるような笑み。千与もその微笑みに返すように目を細めると彼は何も言わずに去っていった。

「―千与、父上から大切な話があります。」

どくん、と彼女の心臓は大きく脈打った。