そして、しばらくするとジョゼよりかいくらか歳を取った白人の男の人がやって来て、千与は直感で彼がフロイスだと確信した。

「そなた様が、エバですか?私は伴天連のルイス=フロイスと申します。」

「ルイス様…」

「私は伴天連です。様などと付けなくて構いませぬ。」

ルイスは穏やかに笑い、そう言った。信長に気に入られた流暢な日本語を話す彼に千与は微笑みを見せた。


「エバです。以後お見知り置きください。」

歴史に名の残るフロイスに出会った瞬間、彼女はただ笑顔を繕っていた。