――世は戦国時代。
ここは尾張の国。

「千与、そちは一体なにをしておる?」

「由親!見てわからぬか?千与も父上みたいに剣術を身につけたいのじゃ!」

そう笑いまた刀を振りかざすのは千与。そしてその千与に話し掛けたのは、由親。

千与は少し名の知れた武家の娘。由親は貧しい地侍。
その二人は幼い頃からよく一緒に時を過ごしていた、所謂幼なじみである。

互いに好意を寄せているのは己の心に秘めている。
いずれ、千与は政略結婚をさせられるのはもうわかりきっているからだ。