そんな涙を流す娘の頭を母は優しく撫で、口を開いた。

「千与、そなたが優しい女子に育ってくれたこと母は誇り高く思うておるぞ。」

「母上…」

「こんな乱世に戦を嫌い、平和を祈るそなたは誠に美しい。」

母は微笑みを浮かべ、娘を優しく抱きしめた。いつの世にもある親子の愛。今も未来も、過去にもそれは当然あり、それだけが唯一の救いだったのかもしれない。

「すまぬ、こんな時代にそなたを産んでしまい…」

「なにをおっしゃるのです母上。千与はどんな時代でも母上の娘に生まれたことを神に感謝しておりまする。わらわは母上の娘で幸せです。」