「隣、よろしいですか?」

少し発音が違うその声。
視線を映すと、千与は一瞬目を見開いた。

「あ、はい。」

「気持ちのよい天気ですな。」

「誠にな。」

千与に話し掛けたのは南蛮人の黒の服に身を包む伴天連だった。

「私は南蛮人です。ここに来たのは目的をそなた様はご存知ですか?」

「目的?」

「はい、私は伴天連。故に是非ここにも布教して頂きたく参りました。」

そう笑う、伴天連の彼。
彼の藍色をした目、白すぎる身体、赤髪。それは今まで見たことがない人がほとんどではないか。

今まで外国人を見たことも話したこともない千与は緊張で息が上手くできなくなる。