「きゃー、ヤダヤダくすぐったいって!」


「動くなよ」


あーもー。 さっきまで大人しかったくせにどうして動くんだよ。
動いたらやりずらいだろ? こちょこちょが。


「もう、やだぁ~」


右に転がり左に転がり…… 忙しいやつ。


「やだやだやだぁ~」


顔、真っ赤じゃん。
リンゴ…… いや、トマトだな。


まおの脇腹から手を離した。
ちょい休憩。 まおがあちこち動くから疲れたし。


「んもー、いっくんのバカッ」


これだ、これ!! まおが“いっくんのバカッ”って言った時のこの顔が可愛いんだよ。
つい、これを見たさだけにイジメちゃうんだ。


真っ赤な顔して、目はウルウル…… 無意識なんだろうが、俺の心臓をとてつもない大きな矢が射ぬいていく。


「まおちゃん、電話鳴っているよ?」