「もしかして…他のヤツにもこういうこと、させてる?」

「する人なんて、あなたぐらいなものですよ」

そう言って、彼の背に手を回した。

熱い体―。

冷たい自分とは、何もかも正反対だ。

「じゃあ、何で抵抗しないの? イヤじゃないの?」

「イヤでは…無いですね」

イヤならとっくに張り倒している。

これでも武道有段者だ。

「イヤじゃないなら、何?」

少し体を離して、顔を覗き込んでくる。

あまり見たことの無い必死の表情。

何故そんな顔をするのか、自分には分からない。