ジュエリーボックスの中のあたし

「ミリもっと怖がりなさいよ。襲われかけたんだからね。」



ゆきは一瞬見せた動揺もうまく隠し、平常な表情で言った。



ちっ、上手くいきかけてたのに。



心の中で舌打ちしつつあたしはこたえた。



「だって怖くなかったんだもん。」



「はー。」



ゆきはこれ見よがしにため息をついた。



「もっと怒れよ。ミリがそんなんだから襲われるんだぞ。」



いつになく真剣で強気なゆきに戸惑った。



「…ごめんなさい。」



「あぁーもう!あいつやっぱり殺しておけばよかった。俺のものに手だしておいて。」



ゆきは頭をかきむしりながらむしゃくしゃした様子でいった。



あたしがあんたのものなら、あんたがあたしを抱いてよ。



心の中によぎったそんな思いに、あたしは欲求不満かと自分で自分に突っ込みを入れた。