ジュエリーボックスの中のあたし

あのお客様のところに行くようにと愛香ちゃんに伝えると、嬉しそうな顔をして山岸さんへのフォローもなしにさっさと行ってしまった。



どうしてもあのお席に行きたかったらしい。No.2ともあろうマリアでさえ嬉しさを隠しきれない様子だった。



山岸さんが肩に手を回してあたしを口説きに係り始めた。



天地がひっくり返ってもあなたに落ちることはないわ。



心の中とは裏腹にやんわり対応する。



愛香ちゃんがそそくさといなくなってしまったのも無理はない。



この男は高級クラブと安いキャバクラを勘違いしている。



何度もアフターに誘われたけどこの男に付き合ったら最後、ホテルに引きづりこまれそうなので断りつづけている。



こればっかりはママも多めに見てくれている。