ジュエリーボックスの中のあたし

ピンポーン



夜もすっかり更けたころ突然呼び鈴がなった。



あたしはすっかり作業を終え、ガランとした部屋で1人ほっとミルクを飲んでいた。



やっとユキが来たんだ。



ここ最近は毎日ユキのところへ帰っていただけに、たった半日会っていないだけでどうしようもなく寂しくなってしまう。



今朝目覚めたときには、もうユキは仕事に行ったようでいなかったから。



あたしはこんな朝、抜け殻の部屋に1人取り残されもう二度とユキは帰って来ないのではないか、そんな言いようのない不安でいっぱいになる。



今日もそんな不安をかかえたままここへ来たのだ。



早くユキに会いたくて、早くユキのあの無邪気な顔が見たくて、あたしはインターホンも見ずに玄関へ一目散に走った。



「お帰り!」



しかし勢いよく扉を開けた先にいたのはユキではなかった。