ジュエリーボックスの中のあたし

ほとんど荷物を詰め終わり後はあのミッキーが飾ってある棚の本だけになった。



ユキにミッキーには絶対触るなと念を押され、あたしは何となくミッキーがある棚を避けて作業をしていたのだ。



…ふとミッキーに目をやった。



ミッキーはあの日のままうつぶせになり、頭は棚から飛び出して床を見ていた。



なぜユキがこんな事をしたのかまったく謎だが、あたしは言われた通りミッキーに触れないよう棚の整理に取りかかった。


本をすべてダンボールに詰め終わり立ち上がったときだった。



その拍子にあたしの肩がミッキーに触れ、ミッキーはボトリと床に落ちた。



仰向けになったミッキー。



………



しまったと思ったけれども触れてしまったものは仕方がない。



あたしはミッキーマウスをそっと棚に戻した。



ユキが来たときにばれないよう、ちゃんとうつぶせにして。