ジュエリーボックスの中のあたし

「ご来店くださったのは初めてですね。素敵な女の子をつけさせていただきますわ。」



「みさとちゃん」



テーブルに案内した後にママはあたしを読んだ。



「あの方たちのお相手してくれる?なんだか怪しげだけど長年の勘で逃してはいけないお客様って感じがするのよ。」



「ごめんなさいママ。今山岸さんが珍しくたくさん飲んでしまってとても気持ち悪そうなの。手が話せないわ。今あたしの席についてる愛香ちゃんヘルプで連れていっていいから。」



山岸さんは一晩にものすごあ量のボトルを入れてくれるものの、酒癖が悪く高級クラブに通ってくる男にしては珍しく度が過ぎたセクハラまがいな男だ。



厄介な人なのだがお金だけを見るとものすごい太い客なのでママも門前払いには出来ないのだ。



愛香ちゃんはまだ新人だが子犬のような可愛いらしさがあり話も上手な期待の星だ。



「そうね。じゃあマリアちゃんを付けるわ。あなたもなるべく早く対処なさいね。」



マリアはこのお店のNo.2だ。初めてきたお客様にナンバークラスのホステスをつけようとするなんて前代未聞だ。



ママはそこまでしてあの客を手放したくないらしい。



でもそうさせる魅力がある。彼は底知れぬ何かを秘めているような目をしている。