ジュエリーボックスの中のあたし

「冷たっ!」



もうすっかり冬風になった夜の少し濡れて黒くなったコンクリート。



裸足のあたしには思いのほか冷たかった。



「あぁごめん。つい。」


本当に悪いと思っているのか果たして謎だが、ユキは真顔でそう言った。






突然あたしの視界が変わったかと思うと、あたしはユキに担がれていた。



「ちょっ、何すんの!?」



「だってこのまま歩いたらミリ足冷たいでしょ。」



「いいよ。恥ずかしいから。」



裸足に部屋着、しかし髪だけはホステス使用、おまけに美しい男に担がれているあたしはほとんど変人に思える。



「いいじゃん。車まですぐだから。」



暴れるあたしをものともせずにユキは駐車場に向かって歩いて行った。