ジュエリーボックスの中のあたし

以前、ディズニーランドに行く予定を立てていたのだけど風邪で行けなくなってしまった事があった。



そのことを橘さんに話したらなんとミッキーとミニーの人形を買ってきてくれたのだ。



ディズニーランドの変わりにはならないけど、とかなんとか言って。



いつも腕時計とかアクセサリー、ドレスなど高級なものを貰うあたしにとって人形というのは意外性があってなんだか嬉しかった。



そんな訳もあり部屋に置いている訳だったりする。



「ふーん。」



ユキは考え深げに唸ると、座っているミッキーをそっとうつぶせに寝せて


「ミリもうここには帰ってこない方がいんじゃない？」


と言った。



さっきまで泊まるとかなんとか言っていた彼が数分後にはこうだ。



「は？なんで？」



「なんでもいいから。もうこのマンション引き払った方がいいって。」



この突然の申し出をやすやす受ける訳にはいかない。



「無理よ。どうしたのいきなり。」



「どうしても。」



「ユキ意味わかんないよ。あたしここ引き払ったら自分の家なくなんのよ。それにここ気に入ってるし、」



「俺ん家あるじゃん。」


ユキは当然だろとでもいうようにあたしにそう告げた。