ジュエリーボックスの中のあたし

ほら、また。



あなたは時々あたしを物のように扱う。



その言い方じゃあたしがまるであの部屋の中の、あなたの所有物みたいじゃない。



所詮あたしが貰えるのはあなたの愛着。



愛情じゃない。



それでもいい。
それでもいいからユキの愛着のある物の中であたしが1番でありたい。



もし次どこか違う場所で暮らす事にしたとしても必ずあたしを持って行きたくなるような、そんな存在でいたい。



「ミリが住みやすくなるなら家具増やしてもいいよ。実際テレビもミリが来てから買ったものだし。」



睨んでやりたい気分だったけど、あの車内での気まずい空気から一転、元に戻れたことが嬉しくてあたしは何も言わなかった。



ただ曖昧に微笑んだ。



「ああ、居心地いいなあ。今日ここに泊まろうかな。」



ユキはあたしのベッドにゴロりと倒れ込んだ。



もう今さら何を言われても驚かなかったし、動揺もしなかった。



「好きにすれば。あたし着替えてくる。」



そう言ってあたしは脱ぎっぱなしの部屋着を拾い脱衣所に向かった。