ジュエリーボックスの中のあたし

もうダメだった。



今まで精一杯こらえていたのに。



ユキの声はとても切なく辛そうで。ユキの胸は温かくて温かくて。



もう涙を止められない。



「ウエーン。だってユキが〜。」



「三歳児か。」



「ウッ、エッグ、ヒック。」



「ごめんね。ミリごめん。」



そう言ってユキはもう一度あたしの髪に優しくキスをした。



好き。



好きだよユキ。



そういう事されたらあたし期待しちゃうじゃん。


冷たくされたり優しくされたりドキドキさせられたり、あたしの心の中は色んな感情が混ざり合ってもうぐちゃぐちゃだ。


ユキは抱きしめている片手をあたしの頭にのせ、優しく撫で始めた。



「ミリ、ほんとにごめんね。怖がらせたよね。」


…違うよ。ユキ、違う。


確かに怖かったよ。でもね、怖くてこんなに泣いてるんじゃないの。



好きだから。好きだからだよ。



大好きだから、ユキのあの冷たい声に傷ついたの。



ユキの事がどうしようもない位に好き。好きが故の涙なんだよ。



「ウッ、ウッ、ヒック。」



「ミリ…ミリ…ごめんね。ごめん。お願いだから泣かないで。」



ユキの声は本当に悲痛そうで。



その声はますますあたしの涙腺を刺激するばっかりで、ユキが切なそうに懇願すればするほど逆効果だった。



涙が止まらない。