恋とは本当にいつ訪れるかわからない。


無防備な時に何の前触れもなくそれは現れ、気づいたらもう深く落ちてしまっている。


あたしの場合はきっとお店で初めて会ったあの日、あの青い瞳を見つけたあの日もうすでに恋をしていたのかもしれない。

それに気づかないようにしていただけ。一生懸命に気持ちをごまかそうとしていただけ。


一応常識人のあたしは、あんなに非、常識という言葉が似合う彼に飲み込まれるのが怖かった。


あの不思議な魅力を持つ彼の渦に飲み込まれまいと必死だった。


でも、そんなのは無駄な抵抗だった。


初めから、あたしはものすごい勢いであの渦に巻き込まれていたのだから。


一度好きだと認めてしまえば、後に止められるものは何もない。


もうどっとこの恋に落ちていくだけ。


あたしはハァっと小さくため息をついた。