ジュエリーボックスの中のあたし

で、結局はあたしに作ってということらしい。



今更だけど彼の口から"俺"なんて言葉を聞くのは未だに慣れない。



どこかの国の王子だと言われても不思議じゃないような彼の口からぶっきらぼうな言葉を聞くのはとても不思議な感覚だった。



ユキはあたしを上目使いで見つめてきた。



「…。わかった。作るよ。でもこの冷蔵庫なんも入ってないからなんか食材買ってくるね。」



「スーパーいくの?」



突然彼の顔が期待で輝いたように見えてあたしは戸惑った。



「え?うん。そうだよ。」



「俺も行く!」



まるで小さな子供のようにはしゃいだ声の彼にあたしはただただ驚いた。