この目だけにはどうしても弱い。



「ど、ういう、意味?」


上手く言葉がでてこない。すべての思考はとめられてしまった。



あたしの理性的な判断力も決断力も体の動きさえ、すべてにストップをかけられる。



「1人で寝るのって寂しいじゃん?どうせだったらキレイな女の子たちと一緒にいたほうが俺も心休まるし。」



あたしは彼の目に釘付けで、言葉の半分も頭に入ってはこなかった。



知ってか知らずか彼は言葉を続けた。



「手は出さないよ絶対。一緒に眠るだけ。ね?毎日じゃなくてもいいからさ。俺のとこ帰ってきてよ。」



テーブルの向こう側から手を伸ばした彼はあたしの手を握った。



「ダメかな?俺、今いきなり俺の世界からみさとが消えたらすごい寂しいんだけど。ね?」



そうして彼はあたしに優しく微笑んだ。



その顔はずるいよ。反則じゃない。あたしの脳みそはかろうじてそれだけ感じとった。







…コク。



気づいたらあたしはうなずいていた。



「やったあ。よろしくねみさと。」



眩しいくらいの笑顔。あたしの手をギュッと握手するように握りしめる。


眩暈がする。



どうやらあたしは彼から逃げられそうもない。