「なんなのよ。なんであたしここにいるの?」



彼がのんびり振り向いた。



その顔があまりにもキョトンとしているものだから、まるで悪いのはあたし。ひとりで足掻いているのはあたしという気にさせられて一瞬ひるんでしまう。



「ここどこなのよ?」



それでも気を取り直して声を振り絞った。



「俺の家だよ。」



それでもなんでそんなわかりきった事聞くのとでもいいたげな彼の顔をみていたら、やっと沸々と怒りが湧き上がってきた。



「そんな事わかってるわよ!なんであたしをここにさらってきたのか聞いてるの!初対面でおかしいじゃない!あなた何者なのよ!」



「…フフ」



「何がおかしいの!?いっとくけどおかしいのはあなたよ!」



「ごめん、ごめん。怒った顔もキレイだなーと思って。」



…こいつといると調子が狂ってしまう。



「なんであたしをここに連れてきたの?」



それでも根気強く質問し続けるあたしに彼はニヤリと笑い近づいてきた。


後ずさりする間もなく彼はあたしの目の前まできた。



すっと顔がおりてきて、あたしの耳元で一言。



「すごいキレイだったから。」



そう呟いた。