ジュエリーボックスの中のあたし

頭の上から声が響いた。


ギョッとして見上げると、あぁまたあの目だ。



何も言い返さないでいるあたしから、飲みかけの水を奪い自分の口へ運ぶ彼。



水が通るたびに動く喉がやけにセクシーでぼんやり見つめた。



飲み終わるとそれをキッチンにおいて、あくびをしながらまたベッドに戻っていく彼。



彼の一連の流れるような動作はあたしがここにいることがさも当たり前だと錯覚させる力がある。それほど自然な動きだった。



「ちょっと待ってよ!」


一瞬その流れるような動作に騙されるところだった。



あまりにもあたしがそこにいる事が当たり前のように扱うものだから。