ジュエリーボックスの中のあたし

あたしの記憶はここでとぎれている。



気づいた時には朝で彼の腕の中にいた。そして今にいたるのだ。



彼の美しい寝顔を見た。


顔には眩しいくらいの太陽の光が降り注いでいる。



眩しそうに顔をしかめるとすぐに布団にもぐってしまった。



その仕草が太陽よりも何よりも眩しかった。



あたしはベッドから抜け出し部屋の中を見渡した。



壁一面窓の日当たりのいいこの広い部屋はなんともさっぷうけいだった。


あるのはテーブルと部屋の角に観葉植物、このやけに大きいベッドだけ。


キッチンは一度も使われた事がないかのようにピカピカで食器もなければ鍋もフライパンも何もない。



なんとも生活感の感じられない部屋だった。