ジュエリーボックスの中のあたし

あたしの時はとまってしまったのかもしれない。


その目に吸い込まれてしまいそう。



何秒、何分、何時間だったかもしれない。あたしはその目を自分でそらすことが出来なかった。



実際の時間はほんの一瞬だった。



山岸さんに腕を引っ張られたときにみた彼の腕時計の針の位置は、青い目と目があった時となんら変わりなかった。



何度も何度もご飯に誘われたがこんなに酔った山岸さんについていったら身が危ない。



冷静に失礼がないようやんわり断ってタクシーに乗る山岸さんを無事見届けたと思った瞬間だった。



ガシッ



腕を掴まれタクシーに引きずりこまれそうになった。



間一髪あたしはタクシーのドアにしがみついた。