ジュエリーボックスの中のあたし

しばらくしてあたしと話しているうちに山岸さんはアフターもあきらめたようだった。



「みさとに話きいてもらったら勇気でた。ありがとう。」



「山岸さんだから言うのよ。なんでも乗り越えていける強い男だってわかっているからここまで応援してるの。」



心にもないことをいうあたし。




山岸さんを送るためあたしは玄関扉にむかった。



その途中であの客の席をちらりと通った。後ろについていた2人の男は美しいホステスにご満悦でデレデレしていたが対照的に青い目の男はホステスにまったく無関心のようだった。



こんなに必死そうなマリアを見たのは初めて。どうしてもこの客を自分の客にしたいという必死さがマリアらしくもない。


もうまるでホステスと客というよりは、1人の女が恋をしてしまったといった感じだった。



一生懸命に話題をふる物珍しいマリア。まるでマリアが青い目のお客のようにも見える。



不意に青い目の男と目があった。