事件の内容は、わかった。 殺害されたはずの死体が、警察を呼ぶ前に、消えた。 俺は、その犯人と鉢合ってエレベーターに閉じ込められた。 「俺は行くからな」 エレベーターに飛び乗った。 でも、誰も止めなかった。 一体何なんだよ…。 5階は、静まり返っていた。 でも俺は覚えている。 犯人が出て来たのは503。 確かに、山口寛子という名前がある。 必ず証拠を見つけてやる! 「待って!」 雫が、敬語を使うことも忘れ――俺は嬉しいけど――走ってきて、俺の手を握った。