「もしかして、アイツの事好きなの?」

煙草に火を点けながら春人は言った。

「アイツ?」

「ネットのアイツ!」

「あーーー。」

カーオーディオから微かに聞こえる「愛唄」

「わかんない・・・。」

「ねぇ。今、傍に居るのって誰?俺?アイツ?」

「え?・・・。春人?」

「でしょ。迷う事なく俺でしょ?なのにどうして?」






「春人は文字だけで恋した事ある?」


お互い会った事も無くて

声聞いた事も無くて

文字だけで。。。



「そんなの無いよ」

「じゃ、うちの気持ち分かんないね・・・」






無言のまま車は動く。。。

私が目指した自分の家とは逆方向に。

さっきまで歩いてた道を。