「止むかな?」

小さい児童公園の屋根のあるベンチに腰掛け鞄から携帯を探す。

夏花にでも迎えに来てもらおう。そう思って。

「あれ?ポケットだっけ?」

鞄には携帯が入ってなく、服のポケットすべて探したけど携帯は見当たらなかった。

「また。落としたかな?」

仕方が無い。

小降りになるまでココで待機か。。。

前の雨で少し湿った木のテーブルに腕を置き顔を埋める。

「はぁ・・・」

溜め息しか出てこない。。。

日頃の行いが悪いからこういう事になるのかな。。。

小降りになる気配がない雨。

どうせ濡れてるし。

走って帰るしかないかな。。。



上着のフードを被りベンチから離れようとすると

1台の車にクラクションを鳴らされた。

「ん?」

車から小走りで人が私に向かってくる。

「やっぱりココだったか!」

私が被ってたフードを外す春人。

「うぁ。めっちゃ濡れてんじゃん!取りあえず車乗ろ?」

私の肩を抱き車に連れて行く。

「はい。タオル」

「ありがと」

このタオル。春人の匂いがする。

「何で、帰ったん?」

「さぁ。何でだろ・・・」

車に跳ね返る雨の音。

微かに流れるカーオーディオさえ音が消えてるよう。。。

雨音だけが響く。