もじ♡こい (完)

「またね」小声で別れを言い部屋を出る。

部屋を出ると階段までは長い廊下。

さっきまでの雨で水溜りが出来るほど濡れている。

水溜りに写る自分が歪んでいた。

心も歪んでるかも。。。

そっと水溜りを避けながら階段に向かう。

「さすがに雨上がりは冷えるな・・・」

3階から降りる階段。

階段を降りながら1段1段、春人と優真の名前を心で唱える。

私が「好きな人」って誰だろ?

あれだけ「大好き」だった春人?

あれだけ「大好き」だった優真?

いつだって傍に居てくれて。

いつだって優しい言葉を掛けてくれた。

ただ、違うのは

声を聞いて

触れられるかだけ。



階段を降りきって地面に着いた脚は私が[春人]と唱えたのと同時だった。





春人の家から私の家まで徒歩で1時間くらい。

寒い夜風は頭を冷やすのに丁度いい。


歩き始めて20分ぐらいした頃

また降り出す雨。

「ぅぁ・・・。最悪」

まだ、通り過ぎてない小さい児童公園目指して鞄を頭に乗せ走る。