「そう言えば、うちを卒業するって言ってなかった?」

「言ってないよ~。聞き間違いじゃね?」

「言ってた」







お互い卒業しようって。

[幸せだった]

過去形にして終わらせたはずなのに。

もう1度この人が欲しいと思った。




「3度目の正直ってやつになろうか?」

「それを言ったら2度ある事は3度あるになるかもよ」

「あー言えば。こー言う。もっと素直になれよ」









夕方から降ってた雨は止んだようだった。

ベランダに雨水の雫の音が響く。

私は絡め合ってた指を解き上着を羽織る。






「やっぱり・・・。今日は帰るね」

「どうして?」

「なんとなく・・・。」





春人の「やり直そう」

その言葉を聞く前に。

今の私は素直に頷くかもしれない。

まだ。

どちらも手放せない私が居る。。。