「愛してるよ」

「うん」

「うんじゃなくて・・・」




夕方から雨が降ってる。

ベットから見えるベランダから外を覗き外の気温に触れるのを私は躊躇った。

雨に濡れて帰ろうか?

それとも・・・

春人のぬくもりに触れていようか・・・。



私の中は徐々にさくらんぼのような薄紅色から

桜のような桃色に変わっていく。

私の中に居た優真は春人に占領されてゆく。

ノックもしないで土足でズカズカ入ってくる。



私は帰るのを諦め春人の髪に触れた。

「アンタさ。女には困らないハズでしょ?もっといい女ゴロゴロ居るんじゃない?」

「皆、好きなのは外見だけ。中身までは好きになってもらえない・・・」

いくら色気があって美人でも?

優しくて可愛いくても?

春人のすべてを好きになれない?

「見た目とギャップがあるからじゃね?バカな事言わなきゃいいのに・・・」

「別に他の女に分かってもらわなくていい。お前さえ分かってくれれば」

「そういう事言うから引かれるんだよ・・・」



無造作に毛先が流れてる春人の髪。

少し癖毛で軽くパーマをあててる様。

柔らかくて少しワックスの匂いがした。