「嘘だろ?」
「嘘じゃないよ…」
「でも俺にはキミが嫌がってたように見えたけど?」
「だって…あの男がいきなり金出すの渋るから…。あんなオヤジとボランティアでセックスするわけないじゃん」
穂乃ちゃんはそう言ってクスクス笑いだした。
「脅しかけたらやっと5万円出す気になったのに…。咲哉さんが邪魔するから……」
目の前にいるのは、おさげ髪でメガネをかけた穂乃ちゃんだ。
でも、いつもの穂乃ちゃんと違う。
俺の知ってる穂乃ちゃんとは違う。
「咲哉さん?」
「………ん?」
「私、行くね。次は邪魔しないでね」
穂乃ちゃんはそう言って、ニッコリ微笑むと俺に背を向けた。
「待って!」
俺は穂乃ちゃんの腕を掴んだ。



