Kissシリーズ・「お見合いのキス」

ふと、彼の顔が険しくなった。

「俺はこの歳になって、未だに家の力以上のものを手に入れていない。だから足りてないのさ」

「何が…足りないの?」

「そりゃ、パートナーさ」

そう言って不敵な笑みを浮かべる。

「常に俺の隣にいて、離れていても俺のことが分かっているヤツがいないんだ」

もしかして…。

「それが、あなたの結婚相手の条件?」

「ああ。ただ家の中にいて、満足するだけの女には興味がない」

それは…確かに、私があてはまるけど…。

「今までそんな女とばかり見合いさせられた。けれど今回は当たりだったな」