(何を考えているのだろう?)

イリアの横顔をそっと盗み見る。

長いまつげに隠れた闇色の瞳は、無心に文字を追っている。

初めて会ってから3年になる。
ユーリは15歳、イリアは17歳になっていた。

イリアのことは、今だにわからないことばかりだけど、まぎれもない事実が1つある。

言葉も態度も冷たいけど、本当の意味で冷たくされたことは、一度もない。

この3年間、ユーリを匿い守ってくれたのは、他ならぬ目の前にいる敵国の王子だった。