「侵略する国がなくなってしまったな」

退廃と憂鬱が滲んだ声音が耳朶を打つ。

王が住まう王宮よりも、はるかに贅を凝らした第一離宮の主は、デスクに広げられた大陸の地図を、長く形の良い指でコツコツと叩いた。

地図のほとんどは、アルミラ王家の色、瑠璃色で塗りつぶされている。

その中には、かつてのリタニアも含まれているはずだった。