黒王子と銀の姫

「書斎までお運びするように」

真顔で告げた後、イリアに恭しく一礼をして、グノーはその場を離れてしまった。
ユーリは、ずっとイリアに声をかけそびれていることに気づいていたようだ。
その証拠に、すれ違いざまにチラリとこちらを流し見て、片頬だけで微笑んでくれた。