「あー、もう!」

両手で頬を叩いて気合を入れた。

庭掃除を再開するつもりで箒を握りなおした時、塀の向こうから紫色の蝶が飛んできた。

ユーリの手のひらほどの大きさの巨大な蝶は、バサバサと音をたてながら、バラとジャガイモが競い合って花を咲かせている庭の方へと、引き寄せられるように向かっていく。

思わず追いかけようとした時、背後でドスンという音がした。