青春最強ストレート!

軽いアップとキャッチボールをした後、久しぶりに足を乗せたプレート。


久しぶりに見据えたバッターボックスとキャッチャーのミット。


「……や、やっぱり無理です…」


俺は完全にビビっていた。
いっそテンパって仕舞えば良いんだ。けど、何処か冷静な自分。ボールを持った左手が、左腕が、痺れて動かない。

ゴロウちゃんはこれを知らないから言えるんだよ。痛いし、何より屈辱感が堪らなく嫌だ。借りたグローブの中で手汗が吹き出している、マジごめん空。

「大丈夫だって。治ったんだろ?」
空が近くに寄って声を掛けてくる。いやいやマジで無理だって。上がらないもん手。投げられたとしてもどうせ以前の3割減。硬球だってのに。スピードも、コントロールも。