15:20。


あたしは折りたたみの携帯を開いて、時間を確認した。



「…先生、遅いなぁ」


返事がないってわかってても、つぶやきをもらす。



約束は15時すぎ。


あたしは15時5分には駅に着いて、この柱に身を寄せていた。



あ、駅って言っても、いつもの駅じゃなくて、先生の住んでる市の駅。


慣れない駅に一人だから、そわそわする。



だけど、ここにいたい。



先生から遅れるって連絡をもらってるけど、今日は特別な日だから、

近くのコンビニや本屋で時間をつぶすんじゃなくて、

ここにいたいの。



そうこうしてると、駅に電車が到着して、たくさんの人が改札に押し寄せてきた。



その中に先生がいるかもしれない。


あたしは目をこらして、ホームから続いてる階段と改札の間をじっと見た。