「信じてええんか?」



大雅は私の頬を両手で挟んだまま、じっと私を見つめてきた。


今まで見てきたあの“ニヤリ顔”じゃない。

真剣な顔で。



「ええよ」



大雅は、目を潤ませて…… うつむいた。


そして、また話し始めた。





「俺は1人っ子で、絶対に将来親父の会社を継がなあかんねん。だから、今も家ではめちゃめちゃ勉強してるし、経営学の本も読んでる。だから、親父もこの高校に行くこと許してくれたんやと思う」


「すごいな、大雅……」



「俺が将来親父の会社を継ぐってことは、やっぱりそれなりに結婚相手とかも決められたりするんかなって思う。でも、俺はそういうのんは嫌や。自分で選んだ女と結婚したい」




結婚のことまで考えてるなんて、大雅って大人やな。


経営学なんか、なんのこっちゃらチンプンカンプンやし。




「杏奈、一緒に苦しむ覚悟ある?」



「へ?」





ん?


んにゃ?



何?


どういう意味?