「お前、ほんまに何かあったん?フラれたん?」


「フラれたっちゅうか、フラれる前に終わった。もう何もできひんもん」




中学の時、お兄ちゃんの学年の先輩のこと好きやった。



そのときに、いろいろ相談乗ってもらったり協力してもらったから、お兄ちゃんとは普通に恋愛の話ができる。



「相手、どんなヤツ?」


「チョー変態」


「杏奈、変態が好きなんけ?」


「そうかも知れん。わけわからん男で、嫌がらせばっかりしてくるのに、時々子犬みたいなつぶらな瞳で見つめてくる。かと思えば、虎みたいな鋭い目で、にらんできたり。でも、なんかええ匂いするし、細いのに筋肉はあるし、運動神経ええし」



お兄ちゃんは、呆れたように私の話を聞いてる。




大雅の話、止まらへん。


友達にも言えんもん。