「しつこく追いかけられて困ってるって言うてたわ。大雅君……」


部長は、今度は香水を手首に振り掛けた。


部長は一気にキャラが変わり、青春モノのアニメに出てくるいじわるな先輩って感じの雰囲気を醸し出してる。



みんなの憧れの爽やかな美人部長やったのに。



これも全部、大雅のせいや。


女を狂わせる魔術師……



ってそんなことはどうでも良くて!!



今は、この状況をどうにかせなあかん。





「ほんまです。信じてください。私……バレーが好きで、このバレー部が大好きなんです。先輩たちのことも好きやし、今まで通り仲良く頑張りたいんです。城之崎大雅とは、今までほとんどしゃべったことないんです」




これは事実や。


ほんまに、つい最近まで私は大雅の声すら知らんかってんから。




あの朝、偶然出会ってしまっただけ。


そんで、勝手に私が惚れてもうただけやん。



私は、ひっそりこっそり心の中で、大雅のこと毎日想ってるだけで、誰にも迷惑かけてへん。